本年度は、昨年度までの計算機プログラムを拡張して計算機シミュレーションを行い、100素子を超えるような多素子の曲率型補償光学系における空間周波数領域でのエイリアジング除去が高い効果をもつことを確認した。その際特に、素子の配置を従来見られるような輪帯状や正方ではなく六方格子状とすることで、規則性を持たせながらも結像系として重要な等方性の劣化を極力抑える手法を適用した。この場合に、エイリアジング除去に用いる空間フィルターでのマスクの形状は、素子配置に対応する6角状の0次の回折域を算出した上で、それに合致させるようにした。これにより、高次成分との干渉無しに素子のサンプリング限界上限まで効果的にエイリアジングを除去できることになる。またさらに、そのように六方格子状の素子配置を行う際に、円周状に配置される外周部との接続で無理が生じないよう、素子分割の整合法にも工夫を加えた。計算機シミュレーションにより像面での点像分布を評価したところ、これらを用いた際の像性能の向上が確認された。物体が明るい場合には期待通り点像周辺の暗部への散乱光が減少してコントラストの向上が確認された。またさらに、物体が比較的暗い場合にも点像分布の広がりを顕著に抑えられることが判明した。研究内容は日本光学会年会で発表を行った。またその予行集が2頁を取れることを利用して、素子配置とマスクの設計等の各手法、および、計算機シミュレーションの結果について細述を行った。
|