研究概要 |
本研究の目的は,1.強磁性コロイド分散系での計算力学的解析手法を応用して,これまで実験によって調べられている赤血球の特性を再現する数理モデルを作り,血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造を調べ,種々の赤血球の特性が発現するメカニズムを数理的に明らかにすること,2.赤血球の生化学的反応も数理的にとりこんだ,より包括的で普遍的な,血流中の赤血球の力学的特性を解析するための標準となる数理モデルを構築すること,3.構築した数理モデルをもとに血沈のシミュレータを開発し,ヘルスモニタリング技術開発のために応用していくこと,である.本年度は,第一番目の目的に焦点をしぼり,強磁性コロイド分散系での計算力学的解析手法を応用して,これまで実験によって調べられている赤血球の特性を再現する数理モデルを作り,血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造を調べ,種々の赤血球の特性が発現するメカニズムを数理的に明らかにすること,を重点的に行うことを計画していた.結果として,外部磁場をうける流れ場中の強磁性コロイド分散系に対し,計算力学的解析手法のみならず,系の特徴を数理的に深く理解するために,摂動法などを用いた数学的解析手法を構築し,配向分布やレオロジー特性などを解析的に得ることができた.これにより,血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造を理解するうえでの,外部磁場と粒子間相互作用の影響についての知見を得ることができた.成果を論文として発表した.
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