研究概要 |
本研究では,我々が開発した双共役勾配(Bi-CR)法を基礎として超大規模連立一次方程式を解くための高性能な数値計算アルゴリズム開発することを目的とし,本年度は算法の最終調整と広報,そして特殊な行列を係数に持つ連立一次方程式の開発を中心に行った.従って,本研究課題の目的をほぼ予定通り逹成することができた. 1. 開発された算法の最終調整 Bi-CR法に関係する算法を更に信頼性の高い算法に仕上げるための最終調整を行った.また,将来的に並列化することも考慮に入れて,並列化に関する検討も行った. 2. Bi-CR法国際誌へ掲載 Bi-CR法の算法は国内誌で掲載されていたが,それを更に理論的に洗練・発展させた論文がJournal of Computational and Applied Mathematics誌に掲載された.これによりBi-CR法の情報を国外へ発信することができた. 3. 前処理技術の開発 前年度,Bi-CR法とその積型解法の収束性を高めることに繋がる新しい前処理技術を開発した.この成果は,セルビアで行われた国際会議ALA2008で発表され,筆頭著者が講演賞を受賞した. 4. その他の関連研究 物理や工学的諸問題に現れる複数の特殊な連立一次方程式の高速解法を開発し,広報を行った.また,特殊な行列の行列式に対する高速計算法を開発した.
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