研究概要 |
本研究課題の目的は3次元形状計測装置により測定した形状モデルを対象とした構造解析の実現である.今年度は主に形状モデリングとメッシュレス構造解析の2点に重点を置いて研究を進めてきた. 前者(形状モデリング)については,従来の計測点群からの曲面モデル生成手法に加え,色情報などの属性情報を伴うモデリング手法を提案した.この手法は形状を陰関数曲面モデルとして自動的に生成すると共に,属性情報を表す分布関数も生成する手法であり,特に物体表面における属性情報が不連続的に変化する場合でもその属性情報を不連続関数として自動的に生成可能であることを特徴としている. 後者(メッシュレス構造解析)は,陰関数曲面モデルをとして表現された物体に対する構造解析の実現を目的としている.ここでは構造解析のための計算手法として一般的な有限要素法ではなく,メッシュレス法を用いた実現を目指しており,有限要素法に必要なメッシュ生成の工程を省略可能であることが本手法の特徴である.今年度は特にその要素技術として, ・陰関数曲面で表現された形状に対するメッシュレス法の適用 ・メッシュレス構造解析のための節点生成 ・曲面モデル上での面積分計算 の3つを提案した. なお,ここでは2001年にLiuらによって提案されたRPIM(Radial Point Interpolation Method)と呼ばれる手法をメッシュレス法として採用している.この手法は計算量が多いという欠点を持ち,大規模な問題への適用は困難とされていたが,我々は計算アルゴリズムの工夫による高速化を実現し,従来の3倍から10倍程度の高速化を実現した.
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