研究概要 |
本研究課題の目的は3次元形状計測装置により測定した形状モデルを対象とした構造解析のための適切な手段を提供することである. これまでの2年間は主にメッシュレス構造解析の高速化の実現を目的とし, 高速化のためのアルゴリズムの提案と, アダプティブ構造解析のための効率的な計算手法の開発を行った. いずれも高速化と精度向上への貢献が確認され, 我々の目的である複雑形状の構造解析にも適用可能であることを示した. この現状を踏まえ, 今年度は主に提案手法の動解析への応用, およびグラフィックスハードウェアを利用した高速化を目的として研究を進めてきた. 前者は我々の提案するメッシュレス解析アルゴリズムを, 振動解析のような時間依存の問題に拡張することを目的として進めてきた. ここで採用するメッシュレス法は2001年Liuらによって提案されたRPIM(Radial Point Interpolation Method)の改良版であり, 特に従来法に比べて少ない計算量で解が得られること, および解析条件として与える境界の変位が厳密に満たされることを特徴とする. 後者は我々の提案するメッシュレス解析アルゴリズムをグラフィックスハードウェア(GPU : Graphics Processing Unit)上で実装し, GPUの複数プロセッサを利用した高速計算を実現することを目的としている. 前述の修正RPIMは, 全計算量の削減に貢献するだけでなく, 並列化にも適するアルゴリズムとなっている. また, 並列化を階層的に設計することにより, GPUのアーキテクチャに合わせた効率的な計算が可能となり, 我々の実験例では10倍程度の高速化が実現されている.
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