本研究では、単一のセンサ構成により同時に渦電流探傷信号と超音波探傷信号を得る電磁超音波・渦電流マルチセンサを提案し、電磁場と音場からの情報を融合して構造物の健全性を評価するためのモニタリングに関する方法論を議論する。また、超音波探傷信号と渦電流探傷信号とのデータ融合とき裂形状の逆問題解析を検討し、き裂形状の推定の精度を高めることを試みる。 このために、平成18年度は、コイル形状と磁石構造について、超音波の送受信と渦電流分布の2つの観点から検討し、内面/外面き裂や様々な深さのき裂の形状評価が可能なセンサ構造を数値解析により決定した。以上の検討結果を基に、モニタリング用EMAT/ECTマルチセンサを試作し、放電加工による模擬欠陥を導入したアルミニウム試験片を用いてモニタリング用EMAT/ECTマルチセンサの基本性能を確認した。 EMAT/ECTマルチセンサを用いたモニタリングでは、超音波と渦電流から得られるそれぞれのき裂信号を適切に融合し、き裂形状評価の信頼性を高めることが重要である。本研究項目では、これまでに開発している超音波探傷信号および渦電流探傷信号のシミュレータを用いて、EMAT/ECTデータ融合手法とき裂形状推定法の検討を行った。具体的には、超音波信号と渦電流信号のパラメータ化を行い、超音波信号と渦電流信号とからなる探傷パラメータの情報の集約法を検討した。さらに探傷パラメータに基づいて、マルチフィジックス逆問題解析手法の検討を行った。
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