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2006 年度 実績報告書

非局所結晶塑性理論に基づく多結晶塑性の大規模マルチスケール解析

研究課題

研究課題/領域番号 18760080
研究機関名古屋大学

研究代表者

奥村 大  名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (70362283)

キーワード非局所結晶塑性 / ひずみこう配理論 / 均質化理論 / 多結晶金属 / 寸法依存性 / 転位論 / 有限要素法 / 結晶粒界
研究概要

本研究では,多結晶塑性の粒径依存性の発現メカニズムを解明するために,非局所結晶塑性理論を用いて多結晶モデルの解析を行った.このためまず,ひずみこう配結晶塑性理論に基づく有限要素離散化手法の開発を行った.また,多結晶モデルの有限要素解析によって,結晶粒界での付加的な境界条件が粒径依存性に及ぼす影響を調べた.さらに,GN転位が存在することによって生じる自己エネルギーの影響を新たに考え,その効果を調べた.今年度の研究成果は次のようにまとめられる.
多結晶モデルの有限要素解析では,結晶粒界での付加的な境界条件が多結晶塑性の粒径依存性に大きな影響を与えることを示した.しかしながら,これまでに報告されている条件を用いただけでは,実験で観察されるような粒径依存性を定量的に再現することはできなかった.そこで本研究では,初期降伏時のようにGN転位密度が非常に低いときを考え,転位論に基づいてGN転位の自由エネルギーを詳細に検討した.この結果として,GN転位の自由エネルギーは,無限体中に転位が1本存在するときの単位長さ当たりの転位の自己エネルギーを用いて簡単に表されることがわかった.この自己エネルギーから導かれるすべりこう配に共役な高次応力は,GN転位の発生に伴って作用し,すべり面に平行かつすべりこう配に垂直な方向にある一定の大きさを有する.簡単な形状の結晶粒モデルを解析したところ,この高次応力は平均粒径に反比例する形で初期降伏応力の粒径依存性を引き起こすことがわかった.多結晶塑性の実験結果と比較したところ,粒径がサブミクロンから数ミクロンの範囲で良い一致を示した.したがって,GN転位の自己エネルギーの影響を考慮することは,初期降伏応力の粒径依存性を調べる上で,非常に重要であることがわかった.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] A homogenization theory of strain gradient single crystal plasticity and its finite element discretization2007

    • 著者名/発表者名
      D.Okumura, Y.Higashi, K.Sumida, N.Ohno
    • 雑誌名

      International Journal of Plasticity 23(印刷中)

  • [雑誌論文] ひずみこう配結晶塑性理論を用いた多結晶塑性解析における付加的境界条件の影響2007

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 住田浩一, 大野信忠
    • 雑誌名

      第56回理論応用力学講演会講演論文集

      ページ: 473-474

  • [雑誌論文] GN転位の自己エネルギーを考慮したひずみこう配理論と降伏応力の粒径依存性2007

    • 著者名/発表者名
      大野信忠, 奥村 大, 住田浩一
    • 雑誌名

      第56回理論応用力学講演会講演論文集

      ページ: 475-476

  • [雑誌論文] Higher-Order Stress and Size Effects Due to Self Energy of Geometrically Necessary Dislocations2007

    • 著者名/発表者名
      N.Ohno, D.Okumura
    • 雑誌名

      Proceedings of ICCES'07 (CD-ROM)

  • [雑誌論文] GN転位の自己ひずみエネルギーを考慮した非局所結晶塑性解析2006

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 住田浩一, 大野信忠
    • 雑誌名

      日本材料学会第55期学術講演会講演論文集

      ページ: 393-394

  • [雑誌論文] GN転位の自己エネルギーを考慮したひずみこう配結晶塑性理論による有限要素解析2006

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 住田浩一, 大野信忠
    • 雑誌名

      日本機械学会第19回計算力学講演会講演論文集

      ページ: 113-114

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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