研究概要 |
平成19年度は,軸直角方向振動によるボルト締結体のゆるみ・疲労強度における寸法効果の検証試験を行うと共に,ゆるみ・疲労強度へのグリップ長さの影響とはめあい長さの影響,及びボルトとナットを用いて締結したボルト・ナット締結体における軸直角方向ゆるみ・疲労特性について調査を行いました. 平成19年度の研究成果としては,以下に示す通りです. (1) 軸直角方向ゆるみ・疲労強度のボルトサイズによる寸法効果については,ボルトサイズが大きくなることで,繰返し負荷荷重である軸直角方向加振力振幅の下限界値(見かけの軸直角方向疲労限度)は大きくなりましたが,公称応力で評価した軸直角方向疲労限度は,ボルトサイズで大きくなることで低下しました.なお,M10とM12のボルトでは軸直角方向疲労限度に大差がなく,M10以上では軸直角方向疲労限度へのボルトサイズの影響は小さくなると考えられます. (2) ボルト締結体における「グリップ長さ」が,軸直角方向ゆるみ・疲労特性に与える影響を調べた結果,グリップ長さが長い場合には,疲労破壊起点となるボルトの第1ねじ谷底に作用する曲げモーメントが大きくなり,見かけの軸直角方向疲労限度は低下することが分かりました. (3) ボルト締結体におけるねじ部が噛合っている「はめあい長さ」が長い場合には,ボルトの雄ねじと雌ねじの噛合い部での拘束が強くなることで,疲労破壊起点となるボルトの第1ねじ谷底に作用する曲げモーメントが大きくなり,見かけの軸直角方向疲労限度は低下することが分かりました. (4) ボルト・ナット締結体の軸直角方向ゆるみ・疲労特性は,ナットによるボルトはめあい部の拘束が,ボルト締結体における雌ねじ部の拘束よりも小さいために,見かけ上の軸直角方向疲労限度が向上することが分かりました.
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