研究課題
1.低エネルギー加工に基づく低切削温度を実現する加工法の開発人工関節置換術において、切除される骨を低エネルギー加工することによって熱的損傷を軽減し、骨再生効果を高めるために切削温度を50℃以下に抑えるような加工方法の実現が望まれている。そのためには、骨の材質や組織構造に応じた加工法を検討しなければならない。この時、骨の再生効果を向上させるためには、切削温度を低くすることで骨細胞の熱損傷を最小に抑えることが必要となる。切削温度を低く保つには、(1)低エネルギー加工を実現すること、および、(2)温度が上昇しない加工環境を整えるということが重要である。現在、人工関節置換術における加工具としては、鋸刃状のボーンソーもしくは、ロボット・サージェリで用いられているエンドミルなどの回転工具が主として用いられているが、筆者は、これらに代わる新しい加工方法の開発を試みた。具体的には、骨切削における組織構造に依存した加工メカニズムを明らかにするとともに、骨の材質や組織構造に立脚したき裂の発生を制御しながら低切削温度・低切削抵抗を実現する加工法を提案した。2.骨切除装置における冷却環境の開発切削温度を常に低温に保つために加工環境を何らかの方法で冷却する必要がある。そこで、乾式冷却法として手術部の工具と骨を冷却空気で冷却する方法を試みた。具体的には、熱交換器において冷却した空気を工具と工具保護カバーの間から高圧で加工部に向かって放出し冷却する方式を用いた。乾式であるために手術部を冷却水で汚染することがないが、冷却空気の熱伝達係数は冷却水に比べて低い。このことがデメリットとなるが、切削点へのピンポイント集中冷却で改善可能であることを示唆した。
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計測自動制御学会論文集 44/4(accepted)
Medical Engineering & Physics (Accept)
Annals of CIRP 56/1
ページ: 405-410