研究概要 |
近年,次世代パワー半導体デバイス用材料として,ワイドバンドギャップ半導体であるシリコンカーバイド(SiC)単結晶が注目され,Siの性能を超えるデバイスの研究開発が行われている.さらなるデバイスの高性能化には,SiC単結晶の結晶欠陥の低減や酸化膜界面の高品位化などの技術開発が望まれている.これらの技術開発のための基礎技術として,清浄かつ平坦なSiC表面を得るための表面処理技術や表面加工技術を確立することは極めて重要である. 本研究では,触媒作用を援用した化学研磨プロセスによって,原子レベルで平坦,かつ結晶構造に乱れのないSiC基板表面を実現することを目的としている.今年度は,以下の項目を実施した. 1.触媒作用を援用したSiC基板の研磨に適する触媒の探索とその検討 触媒作用を援用し,高能率,高精度にSiC表面を加工するためには,加工に用いる触媒の種類や活性な反応種を生成する溶媒の種類を適切に選定しなければならない.本年度は,ヒドロキシルラジカル(OH・)を生成できる遷移金属触媒(鉄など)をSiC基板表面の加工に利用し,その加工可能性を検討した.その結果,鉄などの遷移金属触媒を利用することによって,高能率かつ高精度にSiC基板表面を加工できる可能性を見出した. 2.SiC基板表面創成プロセス装置の設計・試作 基礎的なSiC加工実験で得られた結果をもとに,荷重制御可能な簡易加工装置を設計,試作した.これにより,加工量の荷重依存性,時間依存性の定量的評価が可能となった,
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