研究概要 |
生産活動中に, 作業の遅延や機械の故障など, 生産現場の状況が変化した場合, あらかじめ作成した最適な生産スケジュール通りに生産活動を行うことができない. そこで, 状況の変化に応じて適切な生産スケジュールを生成する動的なスケジューリング手法が必要とされている. 著者はこれまでに, 遺伝的アルゴリズムの手法を用いて, 状況の変化に対し, 生産活動と並行して, 生産スケジュールを迅速に改善する"リアクティブスケジューリング(Re-active scheduling)"の研究を行ってきた. 本研究では, 生物の共進化の機構を用いて, 既存のリアクティブスケジューリング手法を拡張することを目的としている. 平成19年度は, 共進化リアクティブスケジューリングのアルゴリズムを構築するとともに, 計算機を用いて, リアクティブスケジューリングシステムのプロトタイプを構築し, 提案したリアクティブスケジューリング手法の有効性を検証した. 具体的には以下の手順で研究を行った. (1)共進化リアクティブスケジューリングアルゴリズムの構築 生産工程(リソースの順序)と生産スケジュール(ジョブの順序)の情報を表す2種類の個体モデルを定義した. 一方の個体の進化が, 他方の個体の進化に影響を与えることで, 互いの個体群が協調的に進化する共進化アルゴリズムを提案した. これにより, 大規模な解空間を効率的に探索することができる. (2)スケジューリングシステムの開発 上記(1)のアルゴリズムに基づき, これまでに開発したリアクティブスケジューリングシステムの機能を拡張した. 計算機実験により, 最適な生産工程と生産スケジュールを効率的に探索することができることを示した.
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