研究概要 |
著者は,これまでに,作業の遅延や機械の故障など,生産現場の状況の変化に応じて適切な生産スケジュールを生成する動的なスケジューリング手法として,遺伝的アルゴリズムを用いた"リアクティブスケジューリング(Reactive scheduling)"の研究を行ってきた. 本研究では,生物の共進化の機構を用いて,既存のリアクティブスケジューリング手法を拡張することを目的としている.これまでに,生産工程(リソースの順序)と生産スケジュール(ジョブの順序)の情報を表す2種類の個体モデルを定義し,一方の個体の進化が,他方の個体の進化に影響を与えることで,互いの個体群が協調的に進化する共進化アルゴリズムを提案した.これにより,大規模な解空間を効率的に探索することができる.平成20年度は,これまでに開発した共進化リアクティブスケジューリングシステムのプロトタイプを用いて,異なる手法との比較実験を行い,提案したリアクティブスケジューリング手法の有効性を検証した.ここでは,生産活動中に発生した作業の遅延に対して,生産活動と並行して,生産スケジュールを迅速に改善する.具体的には,以下の計算機実験を行った. (1) 既存のリアクティブスケジューリング手法との比較 (2) 単品種の連続的な最適化を2段階に分けた最適化プロセスとの比較 (3) 環境選択においてエリート個体を選択する手法との比較 以上の計算機実験により,提案手法は,最適な生産工程と生産スケジュールを効率的に探索することができることを検証した.
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