研究概要 |
長期間運転される歯車装置の信頼性を評価するには,繰り返し荷重に起因する損傷を正しく検査・評価することが重要である.浸炭歯車においては,微小ひずみの蓄積を計測することが有効と考えられることから,デジタルカメラで撮影した除荷時と負荷時の画像を相関法により比較することでひずみ分布を算出することを試みている.浸炭歯車が数万サイクル程度で折損するレベルの曲げ荷重による疲労試験を行い,初期状態からき裂が進展して,折損に至るまでの画像を撮影した.このときの計測方法及びひずみ算出方法では,微小き裂の生成をとらえることができ,また,進展したき裂のき裂開口変位を検出することができた.前記の微小き裂は,アコースティックエミッションによるき裂生成の検知と同時期のものである.一方,デジタル画像による計算処理のため,画素数が計測精度を支配する.当初の計画では,カメラを微小ステップで移動し,画素数を仮想的に増加することで,精度向上を図る予定であった.しかし,市販のデジタルカメラの性能が向上し,大画素数のカメラが比較的容易に入手することができるようになったため,カメラの移動量を精密に制御する必要のある当初の予定を変更し,大画素数のデジタル画像を用いて高精度なひずみの算出を行うことにした.市販のデジタルカメラが生成するビットマップファィルを読み込み,2枚の画像を相関法で比較して対象物体の移動量を算出するプログラムを製作した.
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