研究概要 |
MEMS技術によるバッチプロセスと2種類の異なるレジストを用いる多層化プロセスによって実現できる複雑な構造を持つ3次元立体構造物の提案と製作を行い,今までのECFモータでは製作することのできなかったロータ径100〜500μmのECFマイクロモータの製作を試みた.構造部としてSU-8を,犠牲層としてTHB-151Nを用いた.薄膜金属のパターニングによる電極をシードレイヤにし,またTHB-151Nを用いて電極用型を形成し,電気メッキによってニッケルメッキを育て,薄膜状電極に厚みをもたせた.製作したECFジェット電極高さは20μm±5μmとなっている.ECFジェット電極を作製したガラスウェーハ上に第1層目ステータ部を製作した.次に,犠牲層の製作をした結果,THB-151N(ロータ径500μm)の表面はステータ上面との段差があるものの,第2層目のフォトリソグラフィに問題がないと思われる程度であった.しかしその上に第2層ロータ下部の製作を行ったところ不必要な箇所が露光された.平面の犠牲層が第2層目のSU-8プロセスを行うときのベイク温度でリフロウされていたことが判明した.犠牲層のリフロウによる曲面で光が乱反射され、ロータとステータが結合された構造体になった.光の乱反射の問題を解決する1ために,第2層目のSU-8プロセスをリフロウが発生しない低温プロセスで行うこと,または新たな犠牲層を用いることなどで所望の加工ができると判断している.ECFジェット電極とステータを用いて,電圧を変化させたときのECFジェット発生の様子について可視化実験を行った.直径500μm以下のステータ内で初めてECFジェットを観測した意義があり,このような構造をECFマイクロモータに適用すれば高い回転数のMEMSべ一スECFマイクロモータを実現できると思われる.
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