研究概要 |
近年,関心が高まっている省エネルギーや環境保全の対策の1つとして,流れの遷移,剥離,抵抗,流体音,伝熱などの自在な乱流制御手法の確立が期待されている.本研究では,大気境界層や航空機などの高速輸送機器周りなどの実現象に近い形状でかつカノニカルな体系として,壁が存在する外部流,すなわち乱流境界層を対象とする.本年度の研究業績は以下の通りである. 1.乱流境界層データベースの構築 高精度乱流モデルの構築・検証などに必要不可欠な各種乱流統計量を取得した.これらのデータベ-スは熱流体工学の進展に役立つものである. 2.乱流摩擦抵抗低減制御アルゴリズムの確立 既存の摩擦抵抗低減制御アルゴリズムを乱流境界層に適用し,内部流の場合の結果と比較した.具体的には,制御効果が大きいアクティブ・フィードバック制御と,実現可能性の高いパッシブ制御を主なターゲットとした.アクティブ・フィードバック制御に関しては,乱流構造規範型制御を評価した.壁面近傍の乱流微細構造は内部流・外部流で大きな変化が無いことから,抵抗低減効果もほぼ同様の結果を得た.エネルギーの必要としないパッシブ制御として,摩擦抵抗低減を最大化する最適な壁面形状を調査した.本年度では,任意の壁面形状を再現可能な境界埋め込み法を開発し,内部流において評価した.
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