研究概要 |
外的動乱として、小型で低コスト化が実現可能である電場の付与装置を用いて、微弱な電場付与によって、融点近傍で高確率に凝固できる安全な凝固装置の開発を目指す. 電極にアルミニウムを用いた場合、過冷却解消の要因としてアルミニウムイオンが影響を及ぼしていると考えられる.そこで,本研究ではアルミニウムの含有量の異なる純アルミとアルミニウム合金を電極材料として使用し,比較することでアルミニウムイオンの影響を検討することを目的とした.試料水を注入した試験管に電極を設置する。試料を低温恒温槽に設置し、冷却する。試料温度は、熱電対で随時測定する。0℃以下の目標温度で十分に保持した後、電場付与装置で電場を付与する。その際、付与した電場の電圧、電流を測定し、凝固した個所を高精度CCDカメラで観察する。一方、電場を付与しないで冷却し、自然に凝固させる実験も行い、電場付与による効果を比較し、0℃近傍で高確率に凝固する電場付与方法を検討した.純アルミは99.999%の高純度アルミニウムであり,一方アルミニウム合金はAl:98%,Mg:1%,Si:1%の組成比で構成されている.電極直径は共に1.0mmであり,電極間距離も共に1.0mmで行った.また,付与電圧は直流の50Vとした.実験の結果、電場を付与しないで自然に凝固させた場合よりも、電場を付与したほうが0℃に近い温度で高確率に解消できることを確認した.さらに、アルミニウム合金の方が純アルミよりも解消確率が高いという結果を得た.アルミニウムイオンの含有率が高い純アルミが、アルミニウム合金よりも解消確率が劣る理由として,腐食・酸化の度合いが考えられる.一般にアルミニウムの場合,純アルミよりもアルミニウム合金の方が腐食・酸化しやすい.そのため、アルミニウム合金の方が電場付与した際に、より多くのアルミニウムイオンを放出したと考えられる.
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