研究概要 |
昨年度の成果から、電場を付与しないで自然に凝固させた場合よりも、電極にAlを用いて電場を付与した方が0℃に近い温度で高確率に解消できることを確認し、過冷却解消の要因としてAlイオンが影響を及ぼしていると考察した.さらに、Al合金の方が純Alよりも解消確率が高いという結果を得た.Alイオン含有率の高い純Alが、阻合金よりも解消確率が劣る理由として,酸化の度合いの低さが考えられる.A冶金の方が、電場付与した際に酸化しやすく、より多くのA1イオンを放出していると考えられる.そこで本年度は、電極に純Alを用いた場合と祖合金を用いた場合について、電場付与し凝固させる実験を行った.その際、電場付与時の電気量を測定した.さらに電場付与後に凝固した氷を一度融解させ、電極を取り除いたサンプル溶液Alイオン濃度を分析した.その結果、電気量および溶液中に放出された思イオン濃度共に、Al合金電極の方が純アルミ電極の場合を上回った.一方、電場付与後のAlイオンが拡散したサンプル溶液を電場付与せずに再度冷却しても、電場を付与しないサンプルと比較して解消効果が認められないことも分かった.以上のことから、電場付与中に、電極から電極近傍に放出されたAlイオンによって生成された乱水和物が水分子に影響し、解消効果を高めると考えられる.その際、純Al電極より酸化しやすく、多くのAlイオンを放出するA1合金電極の方が解消確率が高いと考えられる.さらに実機に近い条件として、Al合金電極について直流電圧と交流電圧それぞれについて電場を付与した実験を行った.その結果、周波数が小さい方が解消確率が高く、直流が最も解消効果があった.以上のことから電気量がAlイオンの放出に影響すると考えられ、実用化の際は、直流の電場を付与することが効果的であると分かった.
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