燃料電池に用いられる電解質膜について、劣化挙動を解析する手法として、局所スペクトロスコピーMRI計測を開発した。ここで、局所スペクトロスコピーMRIとは、まず計測サンプルのMRI計測を実施し、その画像上の特定の部位からのNMRスペクトルを取得する計測手法である。本研究課題では、キャスト製膜したナフィオン膜について、開回路保持により電解質膜の劣化加速実験を行い、電解質膜断面の^1H-MRI計測を実施し、得ちれた画像上において、アノード側からカソード側の膜内各領域からの^1H-NMRスペクトルを取得した。この結果、カソード側について、^1H-NMRスペクトルのピーク位置のシフトが顕著であることが示された。さらに、19F-NMRスペクトル計測から、劣化電解質膜においては、高分子側鎖の選択的な脱離が生じていることが示され、開回路保持により、カソード側電解質膜の劣化がより進行することが明らかになった。
|