研究概要 |
高温型燃料電池のひとつである固体酸化物形燃料電池に注目し,電極微細構造よりは大きくかつセル構造の代表寸法より小さいスケール(メゾスケール)でセル表面に凹凸部を設け,その形状を制御することで発電面を高密度化し電池性能を向上させることを提案した.メゾ凹凸構造の影響を実験的に明らかにするとともに,解析的にその効果の裏づけを示すこと,また系統的な数値解析を行うことで有効なメゾ構造についての指標を得ることを目的として,実験と数値解析を実施した.具体的には,メゾ凹凸構造をもつセルを自作し単セルに対する発電実験を行い,得られた結果を凹凸のない通常のセルの実験結果と比較することで,セル面のメゾ構造を制御することの効果を明らかにすること,また,メゾ凹凸構造をもつセルについて,電解質・電極・ガス流路を含めてモデル化し,数値解析により単セル性能に及ぼすメゾ凹凸構造の影響を検討することを試みた.平成18年度には新規実験装置の作製と,実験用小型セル作製法の確立,数値解析モデルの構築とプログラム作成およびテスト計算を行った.性能評価用実験装置には,現有の発電試験装置を可能な範囲で活用する一方,使用するセルは直径2cm程度のボタンセルであるため,アルミナ製テストセクション部を新たに作製した.熱変形によるガス漏れに対処するため各種シール材を用いたテスト実験を行い,ガラスシールを採用することとした.実験用小型セルのを作製にはBIP法,機械加工法などいくつかの方法を試み,それぞれの長所と課題を明らかとした.平板セルとメゾ構造制御セルの双方を作製しそれらの発電性能を比較することを試みた.数値解析については,現有の固体酸化物形燃料電池単セル用擬似3次元解析プログラムをベースとして,本研究に適応するコードを新たに開発中である.
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