研究概要 |
本研究は,構造物を単純支持梁と仮定し,その曲げ振動から発電を行うトランスデューサによってその振動のセンサレス能動制御を行うことを目的としている.20年度は,トランスデューサに,圧電素子を用いるケースを解析対象にとした。19年度に作成した計算モデルを用いて、梁の曲げ振動制御を行う時の状態方程式を導出し、圧電素子に加えられる電圧や流れる電流から梁のたわみなどの機械的状態量を推定するオブザーバ(カルマンフィルタ)と、最適レギュレータを設計した。これにより、加速度センサが不要となり、実用上、センサを用いないで制御を行うことが可能になる。数値計算を通じて、カルマンフィルタにより制御を行うことが可能であることを確認し、その制振性能も、シャント回路などの受動的な制御手法よりも良好であることを示した。同時に、その際に圧電素子に供給すべき電力を見積り、消費電力が負になることを示した。負の消費電力は、圧電素子に接続する電源を回生可能なものにすれば、回生電力が消費電力を上回ることを意味し、発電電力のみで能動制御を行うことができることを示唆している。 実験を行う準備も進めた。上記数値計算により、必要な電源電圧など実験装置に求められる具体的なスペックが明確にし、20年度に速やかに実験を行えるようにした。 上記の通り,目的に適う制御系設計を行い、数値計算によって提案するシステムが実現可能であることを示した。また、実験装置に求められる具体的な性能を明らかにした。19年度の成果により、20年度に実験によって本システムが実現可能であることを示すこと、すなわち本事業の目的を達成することができる見通しが得られるようになった。
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