研究概要 |
本研究では,「土壌パラメータを直接的に推定する」ことが可能な,センサ内蔵型ホイールを提案し,本年度は,そのホイールの試作とパラメータ取得実験を行った.このホイールは,ローバーのホイールの周囲に直接センサを取り付けるもので,ホイールの接触面の接地圧と,その接地面の範囲の計測を可能とするものである.この圧力センサに必要な機能としては,車輪の形状に影響を与えないこと,センシングエリアが小さく,アレイ状に設置可能なことが挙げられる.そこで,本研究では,厚さが0.819[mm]と非常に薄型であり,センシングエリアが直径9.5[mm]のニッタ社製圧力センサFlexiForceA-201を用いることとした. 今年度は,試作したセンサ内蔵型ホイールの動作確認を行うため,研究室で所有する「レゴリス・シミュラント」という粒径が非常に小さい土壌の上にホイールを置き,ホイールをスリップさせながら走行させ,センサから得られる土壌からの圧力の測定実験を行った.その結果,土壌圧力曲線は得られたものの,過去の文献から予想していた形状とは大きく異なっていたことが分かった.これは,センサの精度やホイールの問題というよりはむしろ,これまで広く考えられていた軟弱地盤での土壌圧力分布が,実際には異なるという可能性を示している.現在,土壌圧力曲線をオンラインで求めることができる実験装置のセットアップを完了しているため,今後は,構築したホイールを改良・利用して,更に多くの実験を行い,土壌パラメータと車輪のスリップや速度,土壌圧力との関係を明らかにしていく予定である.
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