本研究課題では、次世代外科手術支援ロボット技術にとって必要不可欠な基盤技術となる、外科医と手術システムをつなぐヒューマンインタフェース技術を研究目的とし、脳外科手術時に外科医が感じる手術器械の操作感覚と脳内部組織の触覚を提示可能なマイクロサージェリー用ハプティックインタフェースを開発することを目標とする。(※マイクロサージェリーとは、実体顕微鏡の下で行われる外科手術のことであり、近年、眼科、脳外科、形成外科などの複数の分野で注目、利用されている。) 本年度は次の二つの取り組みを行い、外科医が実際に行うマイクロサージェリーの特徴や性質を考慮したハプティックデバイスおよびその制御装置を開発することを目標とした。 (1)外科医の行うマイクロサージェリー用手術器械の操作動作と操作力、それぞれの計測および解析 (2)解析結果より、マイクロサージェリー用ハプティックインタフェースの設計要求を定め、 それを満たすデバイスおよび制御システムの設計・開発 脳外科手術における術式を考慮すると、勢刀、ピンセット、脳ベラの三つの手術器械に対して、基本となる操作感覚・触覚が含まれると考え、本研究ではこの三つを対象手術器械としたハプティックインタフェースを開発する。しかし、手術器械の可動範囲や操作力、触覚の反力などの詳細情報が未知である。そこで、定量的な評価基準を決めるため、マイクロサージェリー用手術器械を外科医に使用してもらい、その際の操作動作および操作力を実際に計測し、解析する。この際、器械の剛性低下を押さえつつ感度の良い計測が可能な力センサを内蔵した、独自の計測用手術器械を製作する。そして、この解析結果より、実際の外科医の持つ感覚に十分に対応可能なマイクロサージェリー用ハプティックインタフェースを開発する。
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