研究概要 |
平成18年度の研究において,以下の成果が得られた. 四輪アクティブ操舵則を適用するステアバイワイヤ車両の操舵反力として,後輪に関する撃心横加速度にゲインを乗じた操舵反力トルクを提示する手法を提案した.これは,後輪に関する撃心横加速度が,1)車両挙動が規範モデル応答に追従する場合にステアリングホイール角に比例し,車両挙動が物理的限界に近づく場合に飽和する,2)前輪横力に比例する,という関係に着目したものである. 本研究で提案する反力提示法の比較対象として,ハンドルをバネ系とみなして常にハンドル角に比例した反力を提示するという一般的な手法を取り上げた.多自由度車両モデルを有する閉ループシミュレーションにより,圧雪路上のスラローム走行のような限界走行において,ハンドルをバネ系とみなす反力提示法よりも本研究で提案する撃心横加速度に基づく反力提示法の方が,車両状態やバイワイヤシステムの作動状況を把握できることを示唆する結果が得られた.ドライビングシミュレータを用いた被験者実験では,車両状態の判別性が向上するということが確認されただけでなく,その副次的な効果として,車両状態が不安定とならないような適切なステアリング操作が促されるという被験者行動が観察された. 操舵反力提示に加えて視覚情報を提示することで,車両状態判別性の更なる向上を狙いとした新たな視覚情報提示インタフェースの提案を行った.被験者実験により,視覚情報提示を付加することで,操舵反力提示だけによる方法に比べて,被験者が車両状態をより把握することができ,安全運転操作の促進に効果的であることが判明した.
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