研究課題
本研究では、尖足や下垂足などの歩行障害を持った人々の支援を目的としたインテリジェント足関節装具の開発を行っている。研究代表者らは空気圧制御によって機械インピーダンスが調整可能なソフトメカニカルエレメント「空気圧受動要素」を足関節部に取り付けることで患者の歩行相に応じて適切な足関節拘束力を提供する「足関節装具(特願2005-157483)」を提案しており、本課題では、さらに、装具に学習機能を備えることで、患者のより快適な歩行支援を行う方法を検討している。以下、本年度で得た成果を述べる。(1)空気圧受動要素の改良従来の空気圧受動要素では、装具への取り付けに特別な加工が必要であり、要素自体の作成にも煩雑な作業を要していた。そこで、一般の足関節装具にも適用可能なようにパッケージ化を行い、新型の空気圧受動要素を開発した。要素内に回転軸を通す形ではなく、外部に回転軸を設けることで、要素自体の強度が向上し、製作工程も大幅に軽減された。また、受動要素全体も小型化された。(2)歩行解析患者の歩行に合わせて、装具の足関節拘束力を自動調整することが課題の1つである。これには足関節拘束力の調整タイミングを決定づけるセンシング技術が不可欠である。そこで、理想となる健常歩行に対して、歩容、足裏圧力、足関節トルクの観点から運動解析を行い、低速歩行において足関節角度と足関節トルク間に線形関係を見出した。(3)タイミング制御法の確立タイミングスキルの解明とその工学的実現に向けて、広くリズミック運動を対象に、環境変動に対し適応的に追従可能なタイミング制御技術の研究を行った。現在、非線形振動子の特性を利用して、準周期的なセンサ入力に対し適応的に同期する制御法の確立に成功している。今後は、センシング情報(入力)と足関節拘束力情報(出力)を基に、メモリーべースド学習制御システムを構築し、装具に実装予定である。
すべて 2006
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