研究課題
平成19年度には、分散仮想工場に対して実装したコストモジュールの有効性を検証するための実験を行った。実在の生産システムを対象とした分散仮想工場を用いることにより、見込み生産と受注生産の適切な区分点(カップリングポイント)を生産コストに基づいて合理的に決定することが可能であることを示した。また、生産コストに基づいた適切なロットサイズの決定アルゴリズムを提案した。これらの結果により、トレードオフの関係をなす様々な意思決定の評価基準を個別に評価するのではなく、コストという一元化された評価指標を用いることの有効性を示すことができた。また、シミュレーションという特性を活用し、様々なWhat-if分析を行い、その結果をコストに基づいて評価した。内示受注が確定される際に納期や数量に変化があった場合、最終コストにどのような影響を及ぼすかをコスト面で評価した.このような情報を実際の生産システムから得ることは困難であることから、リスク管理等に有益な情報が提供できるものと期待できる。コストモジュールの導入以降、分散仮想工場を生産システムにおける多種多様な意思決定の支援ツールへと発展させる取り組みを行った。具体的には、意思決定の分類法や手順等についての調査を行い、様々な業態の製造業各社へのアンケートを行った。その結果、生産システム内で実施されている意思決定の種類を明確にすることができ、意思決定が階層構造をなしていることが確認された。今後、これらの取組みに基づいて、意思決定に必要な情報を的確に提供する機能を実装することが本研究の課題である。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
精密工学会誌 Vol.73,No.7
ページ: 840-845
Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing Vol.1No.4
ページ: 462-471
日本機械学会論文集(C編) 73巻,735号
ページ: 197-203