研究概要 |
小型電子部品組立,医療,生物,製薬など多岐に渡る分野において,人の手を介さずに,大量処理,繰り返し処理,高速・高精度処理を可能にする微小物体操作手法の開発が望まれている.しかしながら,微小物体操作の自動化は全く進んでいない.そこで,本プロジェクトでは,先に提案している振動を用いた凝着力緩和手法をもとに,この操作の自動化を目指す.以上のような目的のもとに研究を行い,以下のような成果を得た. 1.振動を用いた凝着力緩和手法の周波数特性について実験・解析を行った.振幅 が非常に小さい場合を除き,どの共振周波数の振動を用いても凝着力緩和効果を得ることができることがわかった. 2.物体を把持する場合,物体に対してエンドエフェクタを押し付けることになる.この押し付け量が大きいと,凝着力緩和効果が得られなくなることがわかったその臨界押し付け量は振動モードにより異なることもわかった. 3.凝着力緩和手法を用いてピックアンドプレイス作業(マイクロテレオペレーション作業)を行う際の人間の動作解析を行った.習熟者と初心者の動作を比較解析することにより,動作の習熟度判定方法を開発するとともに,ピックアンドプレイス操作を行うための理想軌跡(理想動作のデータ軌跡)を抽出した. 4.振動を用いた微細物操作用機器の一つである,脳血栓治療用撹拌器の開発を行った.患部において,血栓溶解剤を注入・撹拌することで迅速な血栓溶解を実現する機器である.撹拌は振動により行う.このシステム開発を目的に,撹拌効果の評価指標の確立,撹拌効率向上のための撹拌器設計を行った.
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