研究概要 |
人間の筋骨格について注目し,そのモデル化を行い,ロボットへの応用として,3関節9筋肉により構成される筋骨格冗長アームによるリーチング運動の実現、及び,筋骨格2本指モデルによる物体のピンチングについて研究を行っている.まず,運動生理学においてモデル化されている粘弾性特性が可変な非線形筋肉モデルを導入し,センソリーフィードバックによる制御則を導入したリーチング運動のシミュレータの構築した.構築したシミュレータを用いた数値シミュレーションを行い,筋冗長性による筋内力を変化させることにより,関節空間における粘性の効果が変化することを見出し,さらに,その筋内力を適切に調節することにより,作業空間における位置フィードバックのみで,人間らしいリーチング運動が実現できることを確認した.また,筋内力の決定指針として,作業空間における粘性楕円体を定義し,その楕円体の大きさと向きを調節することにより,リーチング運動が実現できることを確認した.また,有本等によって提唱されている,"仮想バネ・ダンパー仮説"を導入することにより,手先軌道を大きく変えることなく,動作に必要な筋力を減少させることが可能となることを確認した.これらの結果は,国際学会で発表するとともに,雑誌に投稿している. また,リーチングと同様に筋骨格2本指モデルによる安定把持を行うためのシミュレータを構築した.そして、そのシミュレータを用いて数値シミュレーションを行い,筋内力をうまく調整することにより,安定把持と同時に,物体の位置および姿勢の同時制御が可能であることを示した.さらに,多様体上の安定論を用いたシステム全体の収束性の証明を理論的に行った.これらの結果は国際学会で発表すると共に,雑誌に投稿している. また,拇指モデルによるブラインドタッチについて,モデル化及びシミュレーションを行い,3次元非ホロノミック拘束下でのブラインドタッチを実現する制御側を見出し,シミュレーションを行った.これらの結果は国内学会で発表すると共に,国際学会で発表予定である.
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