合成したSiナノ結晶と、結晶表面の有機単分子層膜の構造評価を行い、それらナノ粒子の格子配列化を目指した。表面修飾する前のSiナノ結晶に900〜1100℃の熱処理を不活性ガス中で加えることにより、フォトルミネッセンス強度の高いSi粒子を作製した。表面修飾子として不飽和結合を有する様々な炭化水素分子を試しているが、中でもアクリル酸での表面修飾に関しては、実験条件の最適化がほぼ終了した。Siナノ結晶表面がアクリル酸で保護されても、フォトルミネッセンスの粒径依存性が確認され、その変化は量子サイズ効果で説明が可能であった。ただしアクリル酸での表面修飾の場合、Siナノ結晶の粒径が1.5〜2.5nmの範囲内でしか成功しなかった(これに伴い、得られるフォトルミネッセンスは黄色から青色までの範囲に限られる)。この原因は、アクリル酸を表面修飾子として利用する場合には、約2nmのサイズを形成しようとするライプニングが発生している可能性がある。もしこれがライプニングによるものだとすれば、表面修飾子を変えることで様々なサイズの単分散Siナノ粒子を実現できる可能性を秘めており、この点に関しては平成19年度も引き続き調べていきたい。Siナノ粒子を格子配列化することに関しては、現在2次元的な格子配列に成功し始めた段階で、3次元格子配列化までには至っていない。これは、溶液内のSiナノ粒子濃度が低すぎることに問題があるように思われる。平成19年度には、Siナノ粒子を大量に合成できるよう、実験をスケールアップすることにしている。
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