本研究では、光源から射出する光の方向と拡散分布とを独立して制御する高光利用効率照明システムとそれを用いた新規液晶ディスプレイの設計条件の確立を目的とし、このために必要となる導光板プリズムの設計指針の確立および光拡散フィルムの拡散分布の最適化について検討を行った。 本年度は昨年度に考案した導光板プリズム側面に微小構造を有したくさび形プリズム導光板と反射型LCD内部に配置した光拡散フィルムから構成されたフロントライトシステムの詳細な設計条件について検討を行った。くさび形プリズム導光板における任意の位置から特定の角度へ射出する光の輝度を詳細に評価する手法を確立し、導光板から射出する光の輝度は光源の入射光角度分布に依存することを明らかにした。この結果を基にプリズム側面に設けた微小構造の最適化を行い、導光板内における入射光の角度に対する輝度分布を均一にすることでプリズム導光板の位置に対する光の射出方向と輝度の均一化、光の利用効率の向上が実現できることを明らかにした。 また光拡散フィルムとして用いた体積回折格子型光拡散フィルムにおける内部屈折率層分布と光拡散特性との関係を明確化し、屈折率層構造が直交するように積層することで高い反射率と広い視野角が実現できることを明らかにした。この結果を基に拡散角度範囲の最適化およびフロントライトシステムの作製、評価を行い、従来のフロントライトシステムを用いた反射型LCDと比較して暗環境における画質を飛躍的に向上できることを確認した。
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