従来分岐導波路構造を形成するにはフォトリソグラフィーとエッチングを組み合わせたプロセスが用いられているが、マスクや真空引きが必要なため高コストなプロセスである。また3次元に分岐する構造を得るには、多段階で複雑なプロセスの必要があるため困難である。一方の自己形成ではファイバ端から出射される光により導波路が形成されるため低損失な接続で、簡便かつ低コストであり、短時間プロセスである。さらに3次元分岐構造が光ファイバのLP_<21>モードを用いることで容易に形成が可能である。 本研究課題では、高次モードのみを選択的に励起する方法をオフセット入射を行うことで実現し、再現性良く2分岐または4分岐導波路の形成が可能となった。また偏波面保持ファイバを用いることで分岐導波路の形成面を制御することが可能なことも見出した。LP_<01>、LP_<11>、LP_<21>の混在の比率により分岐位置が変化することをシミュレーションと実験の両方を実施し、一致することを確認した。 また露光量(mJ/cm2)に対する屈折率変化の精査を行った。作製前に照射光の光電力を測定することで、必要な露光時間等を見積もることが可能となった。また形状制御の可能性も見出した。 これらの結果から、フォトマスクやエッチング等高価なプロセスを使わず、簡便かつ安価なプロセスで3次元構造を形成でき、プロセス時間も数分と短いため、大量生産に向いている。また今回の研究結果により、事前の紫外光照射により形状を制御できる可能性を見出した。これはマスクを用意すれば任意の形状に制御することができ、さらには光ファイバやデバイスに接続する際のガイドに応用することで、位置合わせのトレランスを大幅に改善できると期待される。
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