まず、材料の非線形光学効果を利用したフォトニック結晶構造の波長変換素子に関して説明する。この場合、効率的な波長変換を実現するためには、(1)入射光と新たに発生した第2高調波との間に位相整合条件を満たすこと、(2)第2高調波のみを出力するための複合型導波路構造を利用しているため、2つの導波路の接続効率(第2高調波成分)を高めることが重要で、平成19年度の課題としていた。その結果、本研究で考えているような、導波路が真空で構成されている場合、入射光と第2高調波のエネルギー結合が導波路内部で行われないので、位相整合を実現することは困難であることが示された。すなわち導波路部分が非線形光学効果を有する媒質を挿入を要し、その上で位相整合を議論すべきである。その場合の特性や製作上の困難性は引き続きの検討課題とする。また、複合型導波路構造の接続効率は矩形型、円形型およびテーパー型の接続部を検討し、テーパー型の接続効率が最も高いことがわかっているが、前述の導波路構造の変更に伴い、こちらは再検討する必要がある。 次に、外部直流磁場印加による磁化プラズマを利用した光スイッチについて説明する。こちらの検討課題は印加する外部直流磁場の印加方式に関する検討が主であった。ところが、微細領域に大きな直流磁場を発生させることは代表者が考えていたほど容易ではないことがわかってきた。そこで、コイル状のカーボンナノチューブ等を何らかの形で配列させるなどの検討に絞ることにする。平成19年度では、シミュレーションに対して具体的なパラメータを導入する点を課題としてあげていたが、これについても再考を要する状況となった。
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