研究課題
この研究課題の主要な目的は、集積された高温超伝導ジョセフソン接合および高周波キャビティを用いて、全く新しい固体CWテラヘルツ発振器の実現を目指すことであり、素子内でのテラヘルツ波の発振および外部からの検出を目標としている。この目標に向けて、H18は下記の研究を行った。1)Bi-2212銅酸化物系高温超伝導体の単結晶にサイズがサブミクロン領域の固有ジョセフソン接合を加工した。サブミクロンに加工した素子幅と垂直に面内磁場を印加して電流-電圧特性を測定したところ、電圧間隔最大1mVで電流ステップが等間隔に出現した。これは、接合内にテラヘルツ領域の電流振動が励起されたことを意味する。各接合が同じ共鳴周波数で発振状態に遷移することは、固有ジョセフソン接合をテラヘルツ領域の連続波発振アレイ素子として利用できることを意味する。2)円形の固有ジョセフソン接合に、電流を走引するだけで、磁束量子を導入する方法を発見した。このジョセフソン磁束は接合中に保持されるため、接合はマイクロ波照射に対して高感度の応答を示し、明瞭なシャピロ・ステップが観測された。この素子は、1)のテラヘルツ発振素子のオンチップ検出器として有望である。3)1)の発振素子に共振器を組み合わせる研究を進めている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
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