研究概要 |
本研究では、異種無線信号サービスの広帯域伝送と転送を目指すソフトウェア無線ネットワークを構築するための構成技術のうち,カオスを用いた光電波信号処理技術をテーマとし,カオスを用いたこれまでにない信号処理方式や特性の発見を目的とした研究を行った。その結果、以下のような成果を得た。 (1)光電波信号処理による広帯域無線周波数変換技術: 直接光スイッチングCDM方式を利用し,無線の周波数変換技術を提案した。ここで信号処理の際に使用するミキサ入力信号をカオスから発生する系列を使用することで,周波数返還効率が改善することを実験的に示した。また,解析により,信号系列のパルス幅,周波数変換量の間に最適値が存在することを示した。 (2)光電波信号転送技術: レイヤ1でユーザの意志・状況に適応して信号転送を行うため,カオスを用いた光ルーチング方式を提案した。ここで光ルーチングを行う際の制御信号としてカオス系列とカオス同期現象を組み合わせて適用することで符号同期に必要な同期ほそく時間が短縮されることをシミュレーションにより示した。 (3)リンクブロックを避けた効率的信号転送技術: ソフトウェア無線ネットワークのなかでも厳しい無線伝搬路の変動がある路車間・車車間ネットワークには効率的な信号転送技術が必要である。本研究では,大型車両のアンテナ高を積極的に利用することでリンクブロックを避けたリンク確立が可能であることをシミュレーションにょって明らかにした。 以上の成果により,カオスを用いた光電波信号処理において新しい特性を見出し,無線周波数資源を有効に利用して,様々な無線サービスを柔軟に伝送するためのソフトウェア無線ネットワーク構築のための構成技術の発見があり,その特性を学会を通じて発表することができた。
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