研究概要 |
本研究では,路車間および車車間通信システムの信号伝送品質の改善について検討した.路車間通信システムは,大型車により通信経路が遮断されてしまうシャドウイングが大きな問題となる.そこで,この問題を解決するために複局送信方式を用いてサイトダイバーシチ効果を得る手法を提案し,その効果を評価した. 通信方式はDSRC規格を想定し,受信側でRLSアルゴリズムによる等化器を導入することとした.交通流モデルは追従走行やランダム走行を表すことのできるアーラン分布を用いて車両をランダムに発生させて走行させる計算機シミュレーションを行った.その結果,シャドウイング確率については従来方式である単局送信と比較して提案方式は同じ送信アンテナ高度でも1/10以下に抑えることができることが分かった.また,大型車混入率が50%の状況においても,提案方式はシャドウイング確率を1/4以下に抑えられることが分かった. 次に,平均パケット誤り率特性を評価した結果,車両の平均車間距離が10m以上の環境であれば提案方式により十分な信号品質を確保できることが分かった.さらに,路側アンテナからの送信信号を時空間符号化して受信側で復号化することにより,通信品質をさらに改善できることを明らかにした. また,信号伝送中にシャドウイングによる受信電力低下を事前に予測する手法として,車両におけるダイバーシチ受信を適用し,各ブランチにおける受信電力の差の変化に着目して通信遮断の発生を予測する方法を提案した.この予測法の有効性について現在検討を行っている.
|