平成18年度にはOFDM通信システムを対象に、キャリア周波数オフセット(CFO)補償について研究を行った。また、MB-POFDM通信方式を対象に、CFOが存在する場合のべ一スバンド帯域における受信信号の数式モデルを導き、CFOがキャリア問干渉(ICI)に与える影響を分析した。分析結果より、CFOによるICI緩和の方法として、低速モード(80Mb/s以下)に対しては、一定間隔を離れたサブキャリア対に、送信信号とその位相回転させた信号を配置する新たな符号化法を提案し、提案手法の有効性をUWBチャネルモデルCM1-CM4を用いて検証した。一方、高速モードに対しては、受信したプリアンブル部にあるパイロット信号の自己相関関数からCFOを求めるが、 MB-OFDM/MB-POFDM方式ではパイロットシンボルにカバーシーケンスを乗じたシンボルをパイロットシンボルとすることから、同パイロットに適合し、また、推定範囲が広く、かつ精度がよいCFO推定アルゴリズムを提案した。 次に、MB-POFDM信号の周波数領域でのダイバーシチ特性を用い、プリアンブル部を利用しないブラインドCFO推定法を提案し、種々の通信環境でも提案手法が有効であることを検証した。また、Coarse CFO推定後の残存CFOによるICIとチャネル推定誤差への影響も分析し、MB-POFDM信号の周波数領域のダイバーシチ特性を利用することにより、Coarse CFO補償後にFine CFO補償を行わず、残存CFOによるICIとチャネル推定誤差への影響を抑圧しうる、新たな最適なダイバーシチ結合方法を提案し、提案手法の有効性を数値シミュレーションにより検証した。
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