研究概要 |
本年度はバイオメトリック個人認証手法であるオンライン署名認証手法の高精度化を目指して研究を進めた. 本年度の研究では(1)ユーザ共通モデルの評価,(2)署名の経年変化対応(リファレンス更新,モデルパラメータ更新法),(3)ユーザ依存モデルへの拡張(4)自動生成偽筆を用いたモデル作成,(5)データ取得方法の検討,を行った. (1)ユーザ共通モデルの検討では,モデル学習アルゴリズムの改良や,学習に利用するデータ,特徴を変更しながら精度評価を行った. (2)署名の経年変化対応では,時間の経過と共に書き方が変わってしまうという経時変化問題に着目し,比較を行うリファレンスを更新していくリファレンス更新法,またモデルのパラメータをオンライン学習により逐次学習していくパラメータ更新法提案した.データベースを用いた評価では精度向上を実現した. (3)ユーザ依存モデルへの拡張は,ユーザ毎に利用するモデルを変更することでユーザの個人性を考慮する手法の提案を行った.本年度は初期実験として,利用する特徴が違うモデルを2つ作成し,ユーザ毎に利用モデルを変更することで精度の向上を目指した. (4)自動生成偽筆を用いたモデル作成では,バイオメトリクス認証のアタック手法として知られているヒルクライミング法を逆に利用し,ヒルクライミング法で作成された偽筆をモデル学習に用いることを提案した.データベースを用いた評価では精度を向上させることに成功した. (5)データ取得法の検討では,署名を筆記する動作をビデオカメラで撮影することにより,動画からデータを抽出する手法の検討を行っている. 署名アルゴリズムの研究と共にオンライン署名認証精度評価に不可欠なデータベースの収集も行った.収集署名は真筆と偽筆であるが,真筆については3種類の真筆,偽筆については提供情報と練習回数を変更することで複数種類の偽筆を収集した.
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