研究概要 |
本研究では磁気記録の高密度化に適した誤り訂正符号化と復号の手法を開発することを目標としている.ここでは冗長性の小さい高符号化率を有する符号を構成することと効率に優れ,かつ性能の良い復号法が求められる.本年度は特に,外符号として線形ブロック符号,内符号を符号化率1の畳込み符号とした連接符号の誤り率特性の改善および低密度パリティ検査符号の信頼性に基づく復号法に関する検討を行った. 連接符号の構成に関しては,外符号として拡大ハミング符号と最小ハミング距離が6である拡大BCH符号を用いることで高符号化率の符号を与えている.特に符号化器内で用いられるインタリーバの設計法に着目し,誤り事象を引き起こしにくく実装が容易なインタリーバを具体的に設計した.さらに,これらの符号に対して確率的反復復号法を適用した場合の性能を明らかにし,符号長が十分に大きい場合の性能限界についても理論的に解析を行った. 低密度パリティ検査符号の復号に関しては,実用上有用と考えられる比較的符号長が短い場合に対して誤り率の改善を実現した.特に,確率的反復復号器の出力を各記号に対する信頼度として扱うことで,軟判定復号を行った上で候補符号語を生成するアルゴリズムを考案している.効率的な処理法を用いることで,従来より多くの候補符号語を扱うことが可能となり,結果的に符号長が500ビット程度の符号において従来の復号法では実現されていない優れた誤り率特性を与えることに成功した.
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