研究概要 |
量子暗号プロトコル(BB84など)に対し、攻撃者の現実的な攻撃能力に依存した「条件付」安全性を議論するために必要なモデル化を実際のシステムを特徴づける物理パラメータを考慮して行う。ここで考察されるべき物理パラメータは、大別して次のような二つに分類することができる。 (A)プロトコル、および正規ユーザ(アリスとボブ)の技術的制約を特徴づける物理パラメータ 具体例としては、光子状態(例えば弱コヒーレント状態の平均光子数),光ファイバの透過パラメータ,受信部の量子効率,量子通信路の距離、ビットフリップ確率、具体的なプロトコルで決定される誤り訂正および秘匿性増強の効率等々を挙げることができる。(これらで決定されるパラメータ空間を形式的にPと書く)。 (B)攻撃者(イブ)の攻撃手法、および技術的制約を特徴づける物理パラメータ イブが用いる受信部の量子効率実際に行うことができるデコヒーレンス制御(あるいは、これら等で決定される実行可能な量子操作および測定行為)イブがバイパスとして用意することができる光ファイバの透過パラメータイブの計算機の能力等々を挙げることができる。(これらで決定されるパラメータ空間を形式的にQと書く。) このとき、本研究課題の「攻撃者の現実的な能力に依存した「条件付」安全性を保証する量子鍵配送プロトコルの物理パラメータの最適化」とは、「与えられたパラメータ空間PとQに対し、秘密鍵生成レートRを最大にするようなパラメータ(∈P)を見つける」こととして、整理することができる。 より具体的に、18年度は以下のポイントについて考察を行った 1.要素技術に対する技術的到達点、および、それらの組み合わせにより評価される正規ユーザと攻撃者の技術的制約を検討し、上記パラメータ空間P、およびQの具体的選定。 2.上記で決定される物理パラメータを具体的に導入したCPマップ、および量子状態を用い
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