研究概要 |
実際に実現可能な物理パラメータにより実装さりたBB84システムを用いて鍵配送センター網を構築し,既存の情報通信システムへの鍵供給センターとして組み込むことにより,全体として広域情報セキュリティ基盤を構築していこうとするアイディアが,既にいくつかの視点から提案されている。このアイディアの実用的利点は,暫定的には無条件安全性を達成しないまでも,現在調達可能な量子暗号技術を有効に活かすことにより高度な安全性を提供しつつ,今後達成されるであろう技術革新に応じてシステム全体のアップグレードを行うことにより,無条件安全性を満たす情報セキュリティ基盤への段階的な移行を穏やかに促進することができる点にある。一方,このようなアイディア,特に暫定的に達成された状況について,暗号学的位置付けを行うことは,きちんとした安全性の根拠を与えるために必要不可欠な課頴である。 そこで,現在国内外で開発が進められているBB84プロトコルや類似のプロトコルを調査し,攻撃者の現実的な攻撃能力に依存した「条件付」安全性について量子情報理論的な立場からセキュリティ要件の考え方についてまとあた。さらにその安全性を保証する物理パラメータの抽出を行い,実装きれた量子暗号技術を健全な環境で用いるために必用な技術課題を整理した。
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