研究概要 |
島根県の特産であるシジミは,全て出荷前に手作業による選別がなされている.この選別作業の負担を軽減するために,不良シジミ貝を判別して自動選別する装置の開発が地域社会において期待されている.本研究では,シジミ貝をぶつけた際に発生する音を周波数分析することにより特徴ベクトルを抽出した後,データマイニング手法により不良シジミ貝を分類するシステムを構築する.具体的には,いくつかの分類手法について性能評価を行い,不良シジミ貝の分類に対して最も適した分類モデルを構築することを第一の目的とする.また,構築された分類モデルおよび操作しやすいユーザインタフェースを組み込んだ判定システムのプロトタイプを開発することを第二の目的とする. 本年度は,本研究の第一目的である「高精度の分類モデルの構築」に向けて,専門家である漁業者が判定付けしたシジミ貝の音響データを多数集めて事例データベースを準備した後,分類手法として,決定木による方法,k-Nearest-Neighbors法(k-NN),多層ニューラルネットワーク(MLP),線形判別分析(LDA)を実装し,各手法について性能評価を実施した.その結果,1)今回の対象データに対しては,MLPによる手法が最も優れており約95%の判別精度が得られること,2)他のいずれの手法においても約90%以上という高い判別精度が得られること,などを確認することができた.これらの成果に関しては,SICE-ICASE International Joint Conference 2006および電気学会電子・情報・システム部門大会において成果発表を行なった.さらに,本研究の第二目的である「プロトタイプ判定システムの構築」に向けて,上記の分類手法の一部を組み込み,グラフィカルなユーザインタフェースを備えた判定ソフトウェアのプロトタイプシステムを開発した.
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