研究概要 |
本研究は,超広帯域対せき形フェルミアンテナ(APEA)を用いた地震・火災における人命探査,衣服を通した銃・爆発物の検知などに用いるアクティブイメージング装置の開発を目的としている.2〜18GHzのマイクロ波を対象物に照射して散乱波を受信するアクティブイメージング方式において,DC電圧の自己相関関数を用いるという独創的なアクティブイメージング方式を提案した.本手法は,広帯域にわたり挿引された電磁波を散乱体に照射し,物体から散乱された電磁波を二乗検波して得られる広帯域のパワースペクトルをフーリエ逆変換することにより自己相関関数(ACF)を求め,これをパルス応答として用いることにより物体のイメージを得る方法である.自己相関パルス応答は散乱波の振幅のみを用いて求めることができるが,散乱波の複素振幅をフーリエ逆変換して得られるパルス応答の遅延時間に対応しないfalse応答を含んでいる.そこで送受信アンテナの素子間相互結合を利用したfalse応答の低減法を新たに提案し,モノスタティックパルスレーダを用いた散乱導体の形状推定,及び2つのモノスタティックパルスレーダを用いた物体の位置推定を行い手法の妥当性を確認した.さらに,広角な範囲に置かれた物体を検知できる広角指向性を有する対せき形フェルミアンテナを設計し,アンテナの放射パターン,位相パターンについて,実験とFDTD法による電磁界解析を駆使して求めた.その結果,アンテナの位相中心位置とは大幅に異なる遅延中心位置を利用することにより,高精度に物体の位置を推定できることが明らかとなった.本手法はアンテナの放射パターンの周波数特性が強い場合も適用できるため,フェルミアンテナ以外の広帯域アンテナについても適用可能な手法と考えられる.
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