研究概要 |
本年度は,産業界で多く使用されるオリフィスの流れ場モニタリングシステムの構築を目指し,計測融合シミュレーションにおける基本事項の確認と有効性・応用性の検証に重点を置いて研究を進めた.はじめに,流体シミュレーションと実験(計測)データを併用したモニタリングシステムの構築を行った.特に数値シミュレーションでは計算量の低減と精度向上の同時実現を目指し,実験データの取得方法および取得内容,取得位置などの具体的事項について検討を行った.その結果,圧力もしくは速度をフィードバックすることにより,得られる結果に差異が生じることを確認した.また計算のアルゴリズムについて,代表的なSIMPLE法以外に,精度向上と収束性改善が期待できるSIMPLER法などを利用する改良も進め,その有効性を確認した.これらの結果を踏まえ,流量が周期的に変化する流入条件を非定常流量発生装置により再現し,計算に用いる実験データである境界条件を取得後,実際に流体シミュレーションに適用して,解析結果の妥当性とモニタリングシステムとしての有効性を確認した.しかしながら,実用的な課題として高精度化,計算時間のさらなる短縮化が必要なこともわかり,平成19年度の継続課題とすることとした. 次に,本研究で提案する手法の確認手段として,PIVによる可視化システムを導入して検証を試みた.本年度では実験用の流路設計や可視化を実施する上でのノウハウ獲得に時間を要したため,十分な成果を獲得するまでには至らなかったが,脈動気流可視化の最適条件などの新しい課題を発見し検討することができた. 以上の結果を踏まえ,環境分析などで重要となるクリティカル環境内での流動場リアルタイムモニタリングシステム構築を次年度に実現するために,計測が必要な物理量の選定やアルゴリズムの検討を行った.
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