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2006 年度 実績報告書

蛍光の過渡応答を利用したセンシングデバイスの開発と特殊環境計測への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18760307
研究機関東洋大学

研究代表者

相沢 宏明  東洋大学, 工学部, 講師 (20385967)

キーワード計測工学 / 光物性 / 結晶工学 / 水素 / 先端機能デバイス
研究概要

特殊環境下で使用可能な光ファイバセンサ実現のため、センサとして使用可能な光学材料の開発を目的として研究を実施した。具体的には、無機蛍光体を用いた温度センサと有機色素を用いた水素イオン濃度(pH)センサと酸素濃度センサの研究を実施した。
無機蛍光体であるルビーは絶縁体で、蛍光強度が強く、蛍光寿命も非常に長いため、磁場・電場内といった特殊環境下に適応する温度センサ材料である。本研究では、デジタルオシロスコープ(日本テクトロニクス製:DPO4104)を用いてルビーの蛍光特性と温度依存性を調べ、センサ材料としての実用性を評価した。さらに、ルビーを利用した温度測定システムを試作し、測定精度、再現性を評価した。その結果、試作した温度測定システムを用いて、温度範囲0℃〜80℃を3℃以内のばらつきで測定できることが明らかになった。
次に有機色素を用いたpHセンサ及び酸素濃度センサの研究成果を示す。水素イオン濃度(pH)、酸素濃度の測定は、化学工業、生物・医療分野や水質検査において必要不可欠である。現在、これらの測定には電気化学反応を利用した電極センサが用いられているが、様々な問題を抱えている。本研究では、簡易で実用的なpHセンサ、酸素濃度センサの開発を目的に、シリカゲルにpH指示薬を添加したpHセンサ膜と、シリコーンに多環芳香族蛍光体を混ぜた酸素センサ膜を作製した。各センサ膜の膜厚は精密天秤(科研費^<***>で購入)を用いて求めた。
pH指示薬であるメチルオレンジを混ぜたセンサ膜を様々なpH標準液に浸し、膜の色の変化を分光光度計で測定した。pH標準液の校正にはpHメータ(堀場製作所製:F-51)を使用した。pHセンサ膜の色はpH3〜1の範囲でオレンジ色から赤色に変化することが確認できた。またpHセンサ膜の吸収スペクトルから、波長500nm〜600nmの透過率を測定することで、pHを高い精度で測定可能であることが明らかになった。
テトラフェニルポルフィリン(TPP)を混ぜた酸素センサ膜を密閉容器にいれ、密閉容器内の酸素分圧を任意に変化させた。その時のセンサ膜の蛍光スペクトルの変化を発光測定用高分解能ファイバ分光システム(オーシャンオプティクス製:HR4000)で測定した。密閉容器内の酸素濃度は溶存酸素計(堀場製作所製:OM-51-L1)で校正した。作製したセンサ膜に波長400nmの光を照射すると、波長650nmの赤色の蛍光が観察され、赤色の蛍光強度は酸素濃度の増加とともに減少した。この現象は、TPPが酸素分子と電荷移動錯体を形成するために起きたと考えられる。酸素センサ膜の酸素による消光現象は、酸素分子の検知や酸素濃度測定に応用可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Fabrication of ruby phosphor sheet for the fluorescence thermometer application2006

    • 著者名/発表者名
      H.Aizawa, M.Sekiguchi, T.Katsumata, S.Komuro, T.Morikawa
    • 雑誌名

      Review of Scientific Instruments Vol.77・No.4

      ページ: 044902-044905

  • [雑誌論文] 蛍光材料の温度センサへの応用2006

    • 著者名/発表者名
      相沢宏明, 勝亦徹, 小室修二, 森川滝太郎
    • 雑誌名

      日本電子材料技術協会会報 Vol.37

      ページ: 30-32

  • [雑誌論文] 蛍光を利用した光ファイバセンサの開発2006

    • 著者名/発表者名
      相沢宏明
    • 雑誌名

      工業技術(東洋大学工業技術研究所報告) 第29号

      ページ: 52-55

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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