研究概要 |
前半は,グルコースセンサのトランスデューサ部にあたる酸化亜鉛系電界効果トランジスタ(ZnOFET)の結晶成長条件および加工プロセスを見直した.その結果,FETの相互コンダクタンスを一桁以上あげることに成功した.また,FETのゲート電極部になる酸化マグネシウム亜鉛(ZnMgO)に酵素の足場となるアミノシラン分子を単分子膜として形成する技術を確立した.さらに,ゲート長3mm,ゲート幅5mmの電解質溶液ゲートFET素子を試作し,電解質溶液中でのグルコースの検出特性を調べた.その結果,0?8mg/mlの幅広い濃度範囲でグルコースを検出することに成功した.ただし,電流ドリフトが大きく,また,感度も不十分であることから,今後のさらなる改善が求められる. 後半は,センサのさらなる感度向上をめざし,ZnMgOゲート表面にZnOナノロッドを形成する技術の開発に着手した.ナノロッドに酵素を固定化できれば酵素の固定化量が飛躍的に増大しセンサの感度が向上する.予備的な実験として,硝酸亜鉛六水和物とへキサメチレンテトラミンを含む水溶液中にZnO薄膜を浸し,95℃・3時間の加熱処理によってナノロッドの形成を試みた.その結果,c軸配向した直径100nm,高さ1μm程度のZnOナノロッドが10^9cmぉ<-2>の密度で形成することが明らかになった.今後は,FETのゲート電極部に高密度なZnOナノロッドを選択形成する技術を開発し,そこに酵素を固定化することでセンサの高感度化を図る.
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