配電線の非破壊磁気劣化診断の方法として、周囲磁界より配電線中心位置を推定し、その中心位置のばらつきにより傷の検出を行なう方法について提案し、検討を行なった。従来は、その中心位置のばらつきを評価するパラメータとして、平均位置との距離をもとに表現し、6.6kV用配電線の素線において深さ1mm、幅0.2mmの傷を検出できることを確認している。今回、評価パラメータとして、推定した中心位置の3点で作られる三角形の面積を元とする新パラメータを導入し、その検討を行なった。このパラメータは、パラメータの次元が1つ増えたこと、選定される3点が他の点よりも傷による磁界変化の影響を受ける傾向が得られるとの予測から、検査精度の向上が期待される。実験において、深さ0.5mm、幅0.2mmの傷まで検出でき、検査精度の向上を確認した。 新パラメータにおいて、センサの配置数、設置位置、配電線中心位置推定に利用するセンサの選択ついて、シミュレーションにより検討を行ない、センサの配置数としては、6または12カ所に円形に配置し、成す角が30度から90度の角度の範囲におけるセンサ位置同士による中心位置推定による結果を利用することが最適であることを確認した。 自走ロボットの改良として、配電線に接するローラー部の材料を変更し、安定した走行への改良を行なった。本年度は、渦電流試験の応用を中心に検討を行なう。出力の評価方法を提案、自走ロボットへ渦電流試験機能を追加し、実験的に周囲磁界による方法との併用を評価する予定である。
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