配電線の非破壊磁気劣化診断の方法として、渦電流試験による方法と周囲磁界による方法について検討を行った。 渦電流試験による方法では、励磁コイルと差動形検出コイルの形状について、出力が最大となる形状について検討し、基礎データとして、直径3mmの単銅線において、幅0.4mm、深さ1mmの傷に対して、検出コイルの幅、コイル間距離に最適値があることを確認し、それぞれ2mm、4mm程度であることがわかった。また励磁方向も、貫通型励磁コイルの配電線に平行な励磁磁界と上置型励磁コイルの垂直な励磁磁界では、どちらの励磁方法でも傷の検出が可能であり、渦電流が異なるため、検出波形が変化することを確認した。この違いを利用して、2つの励磁方法を使用することで、検出精度の向上を図ることが期待される。周囲磁界による方法は、周囲磁界より配電線中心位置を推定し、その中心位置のばらつきにより傷の検出を行なう方法について提案し、検討している。本研究で新たに導入した、推定中心位置の3点で作られる三角形の面積を基とする評価パラメータにおいて、磁界センサの配置位置や数、磁界データの組合わせなどにおける最適化を行った。センサの配置数は6の倍数(6、12、18個など)が良く、配電線が7本の多導体の構造による影響であることが確認された。また、データの組み合わせは、60度から90度間隔に配置したセンサのデータから中心位置を推定することで検出精度が向上することが確認された。 今後の課題として、上述の方法を併用することで検出精度の向上を図ることが挙げられる。
|