配電線の非破壊磁気劣化診断の方法として、周囲磁界による方法における検出精度の向上ついて検討を行った。周囲磁界による方法は、周囲磁界から配電線の位置を推定し、推定値のばらつきから傷を検出する手法で、7本多導線からなる配電線を想定し、簡略化したモデルを用いたシミュレーションにより検討を行った。素線径1.4mm、配電線電流25A、深さ0.7mm、幅0.5mmの傷において、センサリング径5.5mmでの磁束密度は約0.1mTとなり、実測値とほぼ同じ値であることを確認した。本研究で新たに導入した、推定中心位置の3点で作られる三角形の面積を基とする評価パラメータにおいて、磁界センサの配置位置や数、磁界データの組合わせなどにおける最適化について検討をシミュレーションにより行った。センサの配置数は6の倍数が良く、検出のエラー率は6個では約13%、12個では約6%、18個以上では、12個のときと大きく変化しないことがわかり、センサ数としては12個が最適であることを確認した。中心位置を推定するときのセンサの組合せとしては、60度間隔に配置したセンサのデータから中心位置を推定することで検出エラー率が約5%となり、精度が向上することを確認した。配電線とセンサとの位置ずれに強く、探傷に有効であることが確認できた。 また、周囲磁界分布による方法と渦電流試験による方法での磁界影響は使用周波数の違いによる切り分けが可能であり、相互間の影響はないことを実験的に確認している。
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