研究概要 |
本年度は,動的変数誤差モデルの同定に対する実現問題を定式化し,基礎的な解法を与えることを目標に研究を行った.また,これまで研究を行ってきた確率実現理論の拡張を行い,閉ループ同定の研究も行った.具体的な研究成果は以下の通りである. 1)国際会議SYSID2006で3月に発表した周波数領域における変数誤差モデルの問題設定をより一般化し,新たな問題設定を与えた.この結果を国際会議IEEE第45回Conference on Decision and Control (CDC2006)に投稿したところ採択され,発表を行った.なお,SYSID2006で発表した問題設定に基づいて,時間領域で実現理論を展開し国際会議CDC2007に投稿中である.また,CDC2006で得られた解法はまだ不完全なものであることがわかってきたので,この問題についてはさらに考察していく予定である. 2)確率実現について拡張を行った.無限区間の確率実現について研究してきた成果がAutomaticaに掲載され,有限区間の結果もAutomaticaに掲載予定である.また,これらの結果に基づいて閉ループの実現問題を定式化し,2007年7月に開催される国際会議European Control Conference 2007(ECC2007)に投稿したところ,採択された.外生入力が存在する場合の実現理論に基づく閉ループ同定に関して考察も行っており,Autcmaticaに掲載予定である.なお,変数誤差モデルのための実現と閉ループ同定実現ではかなり似通った形式で得られることがわかってきた.このことから,閉ループ同定の研究も並行して行っていくことで変数誤差モデルの実現問題の研究にも役立つ結果が得られることが期待される.
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