研究概要 |
本研究では,入力拘束を持つ機械システムに対する高機能・高性能制御アルゴリズムを構築することを目的とする.本研究で構築する制御則は,最適な軌道計画を担当する上位の制御器と,外乱抑圧を担当する下位の制御器から構成される.今年度は,下位制御器の設計法を構築し,平成19年度年度以降に実施する予定の検証実験の準備を行った.以下にそれらについで説明を行う. (1)状態空間の原点近傍ではハイゲイン,原点から遠い領域ではローゲインとなる,状態依存可変ゲイン制御則の設計法を構築した.この制御則では,毎時刻,状態量の観測情報をもとに凸最適化問題を解き,最適な状態フィードバックゲインが決定される.この手法を用いることで,入力拘束の存在下で,広い漸近安定領域と原点近傍における高い制御性能を両立することが可能となる. (2)状態依存可変ゲイン制御則を,振幅有界な外乱力が存在する場合にも、アルゴリズムの可解性が保証されるよう拡張を行った. (3)状態依存可変ゲイン制御則を,出力レギュレーション問題に対して拡張した. (4)状態依存可変ゲイン制御則をもとに,非線形Anti-windup制御器の設計法を示した.これにより,出力フィードバック形式で実装することが可能となった. (5)状態依存可変ゲイン制御則を実機械システムに実装するための環境構築を行つた.具体的には,毎時刻解く凸最適化問題をシンプルな行列の固有値問題に等価に帰着した.その結果,1回の最適化を0.1ms程度で解く事が可能となった.これにより,非常に広範囲な機械システムの制御問題に適用することが可能となった. 次年度以降は,上記結果を踏まえ,1)開ループ軌道計画を含むより高性能な制御アルゴリズムの構築,2)移動体の位置・姿勢制御問題への適用を行っていく予定である.
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