研究概要 |
本研究では,入力拘束を持つ機械システムに対する高機能・高性能制御アルゴリズムを構築することを目的とする.今年度の研究内容・成果を以下に列挙する. (1)昨年度提案した状態依存可変ゲイン制御アルゴリズムを,任意の目標入力信号が加わった場合にも,アルゴリズムの可解性が全時刻で保証されるように拡張を行った.具体的には,制御アルゴリズムの可解性が保証される範囲で,出来るだけ元の目標信号と近い値を持つ修正目標信号を算出する目標信号修正機構を設け,ごれをフィードフォワード制御器として用いる.この方法の典型的な応用分野とし七は,航空機のフライ.バイ・ワイアシステムや,自動車のドライブ・バイ・ワイアシステム等のような,人がフィードバック系の内部に存在し,制御器として目標信号を発生させているシステムが挙げられる. (2)上記制御アルゴリズムを,ディジタル計算機上に実装する環境を構築し,ツインロータヘリコプターモデル実験装置に適用し,その有効性を検証した.本実験装置は,VTOL航空機やヘリコプターと類似した,不安定で,非線形性の強いダイナミクスを持つ.その結果,1)提案アルゴリズムを実行するにlはい毎時刻凸最適化問題を解く必要があるが,41回の最適化は0. 5ms程度で解く事が可能であり,十分実用可能であること,2)通常の固定フィードバック制御器と比較して,格段に高い目標値追従性能を達成できることが確認された. 次年度は,1)更なる制御性能向上を目的とした開ループ予測を含む目標信号生成アルゴリズムの構築,2)提案アルゴリズムの冗長アクチュエータ制御問題への適用を行っていく予定である.
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